15.ニッパ
 
 
〔用途〕
◆ニッパは銅線や細い鉄線を切る工具です。電気通信機器やラジオ、テレビ等の配線・細工・修理で銅線等の切断をする時に使います。
 
〔特徴〕
◆ニッパは刃部が斜めになったものや、刃を薄く仕上げているものや、ペンチの刃部のように両側から角度の付けだ強力ニッパと大きく区別して3種類になっています。
斜め刃になっているニッパは弱電関係に、うず刃ニッパは弱電やプラスチックなどの切断に適しています。また、強力ニッパは銅線・鉄線、またはピアノ線等の切断に使用できます。
斜めニッパやうす刃ニッパは針金を切った時、切れ口が平らになりますが、強力ニッパはペンチで切った時と同じ切れ口になっています。
 
◆ニッパは電気関係の作業に多く使用しますので、柄の部分にビニールカバーを付けたものもあります。
 
〔種類〕
◆ニッパには普通、うす刃のニッパと強力ニッパが
あり、JISでは品質によってその各ニッパは普通級と強力級に分けられていて、普通級はN、強力級はHという記号で表示されています。
呼び寸法は125m/m、150m/m、175m/mとあり、JIS以外では200m/mといった長いものもあります。
 
〔使われている材料〕
◆ニッパに使われる材料は、炭素工具鋼SK7、またはそれ以上のもの、強力ニッパは炭素工具鋼SK7か機械構造用炭素鋼S55C、或いはそれ以上の品質のものが使用されています。もちろん刃の部分は熱処理(焼入れ・焼戻し)がされていて、硬さはニッパがロックウェルCスケールで54〜62、強力ニッパは、ロックウェルCスケールで56〜64なっています。
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◆その他のニッパ
●皮むきニッパ

斜め刃ニッパの刃の部分に大きさの違った丸い穴がいくつか開いているものです。電線(コード)は普通、銅線の周りをゴムやビニールで覆って絶縁をしてあります。配線をする時は、この覆いをペンチやナイフを使って剥ぎ取らなけれぱなりませんが、ゴム線やビニール線をこの皮むきニッパの刃にある丸い穴に挟み込んで力を入れますと、中の銅線に傷をつけずに回りの覆いだけを切ることができます。そして、そのまま外に引っ張るとビニール線やゴム線の覆いを抜くことができます。これを皮むきと言います。
この皮むきをもう少し機能的に、簡単にやれるようにしたものに、ワイヤストリッパという工具があります。
 
●ピアノ線用ニッパ
普通のニッパでは切れない、ピアノ線のような硬い鋼線などを切る工具です。刃先を取り外して研ぐことができる形のものと、ばけ食切りと呼ばれている簡単なものがあります。
 
●小型ワイヤ切り
金網や、普通の鉄線を切る工具で、ラス切りとも呼ばれています。ラスというのは、家の外側をモルタルにする時、その内側に貼る金網等のことです。
 
●その他の特殊ニッパ
最近多い非常に小型のニッパです。これは刃の角度を鋭くして、非常に細い銅線や糸などを切断できるようにしてあるもので、主に弱電関係の工作に使われています。この小型のものは、さらに柄のつけ根の部分にバネを入れて、作業能率を高めるようにしてあります。
 
〔使い方の注意〕
◆これは、銅線や鉄線を切るための工具ですから、それ以外の使い方はしないで下さい。特に、ニッパ(斜めニッパ)や強力ニッパの小型のもの(100mm・125mm)には、鋭い刃が付いていますから、硬い鋼線を無理に切ろうとして、こじったりしまずと、刃先がポロっと欠けることがありますので注意して下さい。
ニッパはペンチと違って、針金を切った切口が平らですし、また平らの面へ刃の側面をぴったりと付けて切ることができますので、一本だけ飛び出した線を切って、平らにそろえることもできます。これは、ペンチではできない作業です。ニッパ(斜めニッパ)は銅線類を切るもの、強力ニッパは銅線類と鉄線類を切るものです。ニッパの大きさに合わない太い線を切る時や、ピアノ線のように特に鋼線を切る場合は、それに合った工具を使うことが大切です。
 
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刃の形状と切断図(断面図)
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警告
1. ビニールカバーは絶縁物体ではありません。
活線(通電している線)の切断、またはこ使用は絶対しないで下さい。感電する恐れがあります。
2. 鉄線・銅線・その他を切る時は、その周囲に飛び散る恐れがありますので、危険防止のために保護めがねを着用して下さい。
 
注意
1. 使用工具はその作業に適しているものか確認して下さい。