2.スパナ
 
 
〔用途〕
◆スパナは六角ボルト・ナットおよび四角止めねじの組付けや取り外しに使われる工具です。
 ボルト・ナットは、機械・車両・エンジンなどで必ず使われ、また建築関係や家庭でも使われています。
スパナは、ボルト・ナットのあるところには必ず必要で、非常に広範囲に使用されています。
 
〔特徴〕
◆片方たけに口を持ったものを片口スパナ(写真1)
両方に口を持ったものを画口スパナ(写真2)と呼びます。また頭の形が丸形と、とがっているやり形(写真3)とがあります。
 
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◆JISでは、丸形の等級に、普通級(記号でNと表す)と強力級(記号でHと表す)の2種類があり、やり形(記号でSと表す)は1種類だけです。
 一般には丸形の強力級が多いのですが、使う場所によっては、やり形の方が便利なことがあります。
 
◆スパナは、口の二面幅寸法(呼び)で大きさを表わし、ミリメートルで表示し、JISのボルト・ナット規格およびISO(国際規格)に整合しています。
スパナの呼びと適合するボルト・ナットの呼びをそれぞれ表裏に表示しているメーカーもあります。
 
◆硬さは、丸形普通級では、36HRC以上、強力級では39HRC以上、やり形も39HRC以上とJISで決められています。(HRCとは硬さの単位です)
 
〔種類〕
◆片口スパナの丸形の普通級・強力級ともに、呼び5.5から80までの41種類、やり形は呼び5.5から30までの22種類がJISで決められています。なお、普通級の強さの約1.5倍が、強力級として決められています。
 
◆両口スパナは、両端の二面幅寸法を組合わせて呼びます。丸形は5.5×7から46×50まで42種類、やり形は5.5×7から30×32までの35種類がJISで決められています。
 
◆スパナの全体の長さや厚みは、JISで決められていますが、JISより長さを長くしたり、厚みを薄くして使いやすいようにしたものも作られています。
口の角度は、柄の中心線に対して約15度とJISで決められています。この角度は狭い場所で作業できるようにつけられたものです。
 
・・・・・・・・・・・・ 参 考 ・・・・・・・・・・・・
●打撃スパナ
ボルト・ナットが大きくなると、人力では締め付け力が不足します。このような時に使うのが打撃スパナです。これは、柄尻の穴にロープを通し、引っ張りながら柄尻の叩き部をハンマーで叩くようになっていて、叩いて増締めしたり、錆び付いたナットを緩めたりする時に使います。
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●タペットスパナ
これは自動車のエンジンの調整用に使うスパナです。
このスパナは全長が普通のものより長く、また厚さが薄くなっています。口の角度が15度のものの他に、一方がまっすぐで、他の一方が15度の組合わせになっているもの、両方ともまっずぐなものなどがあります。
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●イグニッションスパナ
自動車用電装部品、家庭電気機器など比較的小さなボルト・ナットを狭い空間で使用するのに適したスパナで、一方が口の角度15度で普通ですが、もう一方は60度と大きく曲がっている特殊なスパナです。
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〔使い方〕
◆ボルト・ナットのサイズに合っていないスパナを使うと、力を入れた時にスパナが外れることがあります。これはボルト・ナットの頭をつぶしたり、スパナを傷めるだけでなく、大変な怪我をすることにもなりますから、よく注意して下さい。
 
◆ボルト・ナットを締め付ける時は、はじめに手で締められるだけ締め、そのあとスパナで締めたあと最後に、力を入れて締め付けます。
 この時、スパナは締め付けるボルト・ナットに、心もち押し付けるようにしてハンドルの端を握り、ボルトを中心に円運動させるように力を入れて下さい。外の方へ力を入れると外れることがあります。また、スパナの口の先の方だけがボルトの頭に付いて、柄の先が上がっているような状態(図1)で回すと、やはり外れる危険があります。
 固く締まって緩まない時は、ねじの部分に油を十分に浸透させてから行なうと緩みます。
 
注意
1. ボルト・ナットのサイズに合ったものを使用して下さい。
2. パイプ等を継ぎ足して使用しないで下さい。
3. ボルト・ナットを口の奥で確実にくわえて下さい。(図2・3)
4. 力を入れ過ぎるとスパナが外れることがあります。滑らないように注意して下さい。
5. ハンマ代わりに使用しないで下さい。
6. ハンマ等で叩いて衝撃を加えないで下さい。(図4)
 
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