3.めがねレンチ
 
 
〔用途〕
◆めがねレンチは、オフセットレンチ或いはリングレンチとも呼ばれ、六角ボルト・ナットの組付けまたはその取り外しに用いる工具です。
 めがねレンチ(両口)は、主に機械や自動車などの組立や整備に使用されます。
 片口めがねレンチ(シノ付き)は、土木・建築・鉄骨・橋梁などの現場作業に多く使われます。
 
〔特徴〕
◆めがねレンチは、ボルト・ナットの六角部にはめ合わせる口部と手で持って回転を与える柄部とからなり、柄の両端に異なる寸法の口があり、丁度めがねのような形をしています。(後者と区分する時は両口めがねレンチと呼びます)
 これに対して柄の片側のみに一つの口が付いでいるものを片口めがねレンチと言います。
 
◆めがねレンチの口は、12角(二重六角)で周囲はリング状となっており、柄は口に対して上下方向に曲がっています。(横方向に曲がったものやストレートのものもあります)
 また、片口めがねレンチでは柄の端部が単に握り柄のものや、シノと呼ばれる円錐状になったもの、或いは打撃しやすい形状にしたもの等があり、それぞれ特徴があります。
●口がリング状となっているので、ボルト・ナットから外れることなく周囲均等に荷重を受けるため、強力で確実に締め付けることができます。
●二重六角のためボルト・ナットにはめ合わせやすく比較的狭い場所でも作業が容易です。
●シノ付き柄のものはボルトの穴合わせ等に使用できます。また、柄部には落下防止用安全ロープが取り付けられる穴が設けてあります。
●打撃部付きのものは、固く鋳び付いたナットや大型のもので大きな力を必要とする時などに効果を発揮します。
●その他各種柄の曲り方などにより周辺の障害物を避けて作業ずることなどができます。
 
〔種類〕
◆めがねレンチには、多くの種類(形式や大きさ)がありますが次にその一例を示します。
 
◆めがねレンチの呼び寸法(大きさ)は、口の大きさ(口径または二面幅寸法)で表わします。
両口めがねレンチの場合は2つの大きさで呼びます。例えば一方の二面幅が17mmで他方が19mmであれば17×19(寸法の小さい方×大きい方)と呼びます。
 
◆JIS(日本工業規格)のめがねレンチ(両口)は、柄の上下方向の曲り角度で15度、45度および60度の3種類、更に柄の長さによって長形と矩形の2種類があり、サイズ(呼び)は長形で8×9から24×27までの25通り、矩形では8×9から14×17までの9通りがあります。
 一般に多く市販されているのは、45度長形でサイズも5.5×7から50×55までの40サイズほどのものがあります。
●二面幅寸法はミリメートル式の他にインチ式のものも市販されていますが、日本ではインチ表示をしていないため、呼び記号として表わしています。
例えば、1/2インチの二画幅のものは単に1/2と呼びます。
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◆その他
(形状、寸法等、めがねレンチの種類は各メーカーのカタログ等をご参照下さい)
●シノ付きめがねレンチ
60度片口めがねレンチの柄尻をシノ(円錐状)にしたもので、シノはボルトの穴台わせ等に便利です。組立めがねレンチとも呼ばれ、13から60までの20サイズほどあります。
図
●曲柄両口めがねレンチ
柄に対して口が45度の角度を持っているものでちょうどS字形になるので、S形めがねレンチとも呼ばれています。これは普通のめがねレンチと違って、柄が上下方向に曲がっていなく、口だけが角度を持っているので使う場所によっては大変便利こ使えます。
 また、これには片口(曲柄またはS形片口めがねレンチ)もあります。
図図
●取付めがねレンチ
曲柄片口めがねレンチの柄尻に、シノの付いたもので、ボルトの穴合わせに使用できるほか、先端が薄くなっているのでバールにも使用できます。
 
●打撃めがねレンチ
柄の後部に打撃部があり、ここを打撃して回転を与えるもので、大型のボルト・ナットや錆び付いたりしたものなど、大きな力を必要とする時に使用します。
(安全のためロープは必ず取り付けて下さい)
図
 
注意
1. ボルト・ナットのサイズに合ったものを使用して下さい。
2. 六角形以外のものには使用しないで下さい。
3. ボルト・ナットに確実にはめ合わせて回転方向に正しく力を掛けて下さい。
4. パイプ等を継ぎ足して使用しないで下さい。
5. ハンマ等で叩いて衝撃を加えないで下さい。
(打撃式のものは十分に安全を確認した上、正しく使用して下さい)
6. ハンマ代わりに使用しないで下さい。
7. 高所作業等では、落下防止用の安全ロープを取り付けて下さい。